白い花

音もなく

香りもなく

主張することもなく

ひっそりと柊の花が咲いていたのは

まだ暖かい秋の日の事


金木犀が風と共に散って

季節の替わりを告げた後の事


気がついたのは私の誕生日の日の朝の事

舞い降りた先

燃える想いを断ち切るように

舞い降りた先は水の中


叶えられない想いなら

いっそこのまま流れるままに


世界の果てまで

燃え尽きるまで

懐かしくなる前に

小学生の頃、ピアノの本が1冊終わったのと引き換えに

パンダウサギのうーちゃんがやってきた


すくすくと大きくなったミニウサギのうーちゃんは

あっという間に普通サイズ

こたつのコードをかじっても

じゅうたんに穴をあけても

庭に掘った穴で松の木を枯らしても

買って来たばかりの花の苗を食べちゃっても

そんなことは子供の私には関係なかった


春にはレンゲ畑にうーちゃんを連れて行き

レンゲを摘むのに夢中になっている間に

うーちゃんは一足早く家に帰っていたこともある


そんな懐かしいことを思い出した秋の一日

この一日が懐かしくなる前に

春には子ウサギに会いにまた行くよ

次もカメラと大切な友達と一緒に

この先もずっと

一周４キロ弱の小さな島をサイクリング

遠くから近くから

忙しい中、時間を会わせて出会えた奇跡

この短い距離と、貴重な時間を過ごした仲間たちと

この先１０年も２０年も

もっともっとつながっていられますように。

またすぐに会えますように。

日常のドラマ

晴れた日の青空も

ぽっかり浮かぶ白い雲も

一面を覆う厚い雲も

真夏の太陽も

吹き荒れる波しぶきも

一面を覆う落ち葉も

風が運ぶタンポポの綿毛も

満月の夜の濃い影も

頬を染める夕日も

大雨の後の水たまりも

日常のどこかにひそむ一つのドラマ